広島・黒田博樹投手(41)が、宮崎・日南キャンプ合流2日目で初めてブルペン入り。自宅のある米ロサンゼルス周辺で投げ込んできたとあって、捕手を座らせ50球。直球、カットボール、ツーシーム、カーブ、新球チェンジアップと多彩な変化球も披露した。

 「ひと通り試してみたかった。スライダーとフォークはまったく投げていないが、それ以外の球種は投げた」

 そういわれると、逆に封印した2つの球種の方が気になってくる。

 これまで日本球界で12年、米大リーグ7年のキャリアを誇る右腕は「スライダーを投げるときは、どうしても体の開きが早くなりがち。直球があってこその変化球なので、この時期は腕の振りをよくすることを優先している」と説明した。

 投球するための体力ができていないうちにスライダーを投げると、悪いくせが付きかねない。直球と同じ腕の振りで投げないと効果が薄いといわれるフォークも、シーズン同様の速球での腕の振りができてからでないと意味がないという。

 41歳にして新球チェンジアップの習得に挑む姿勢にも頭が下がる。本人は「毎年、この時期には新しい球種にトライしている。実戦で使える精度にならないと意味がない。現状のままではちょっとしんどい。簡単ではない。使えないなら、どこかで見極めを付けないと」と冷静だ。

 その新球の利点については「打者との“距離感”を変えられること」。やや抽象的な表現だが、打者は速球に押し込まれるとマウンドからの距離を『近い』と感じ、球速の遅いチェンジアップでいなされると球を待ちきれず『遠い』と感じる。緩急をつけることで打者に錯覚を起こさせるわけだ。

 抜群の制球力を武器に巨人、米パイレーツで活躍した桑田真澄氏も、現役時代に「みんなストライクゾーンには“内外角”と“高低”しかないと思っているようだけど、本当は“前後”もある」と語っていた。同じ意味だろう。

 何から何まで理詰め。黒田の語り口に「たまたまっす」みたいな安易さはみじんもない。周囲の若手投手にとっても勉強になるはずだ。 (宮脇広久)

New Era(ニューエラ) 広島カープ グッズ 黒田博樹 キャップ/帽子 CARP PLAYER 59FIFTY (スカーレット/ホワイト) - 7.1/4[57.7cm]

新品価格
¥5,680から
(2016/2/19 19:05時点)